1.介護職員等特定処遇改善加算について
①介護職員処遇改善加算について
介護職員処遇改善加算(以下、現行加算)は、介護サービス施設・事業所で働く介護職員のためのキャリアアップの仕組みを定め、職場環境の改善を行った施設・事業所に対して、介護職員の賃金の改善のための介護報酬を支給することを目的に、平成23年度(2011年)まで実施されていた「介護職員処遇改善交付金」を廃止して、介護職員処遇改善加算として改定をした加算です。現行加算の加算率は、事業所毎の算定要件により決定します。算定要件にはキャリアパス要件と職場環境等要件があり、要件に応じて5段階(現行加算Ⅰ~Ⅴ)に区分されます。要件を多く満たしている事業所ほど加算率が高くなります。なお、当法人運営の「介護付有料老人ホームたなごころ毛穴」「介護付有料老人ホームたなごころ小阪西」「ダイフク訪問介護ステーション」では、最上位の加算Ⅰを算定しています。
②介護職員等特定処遇改善加算について
2019年10月の介護報酬改定により、更なる介護職員の確保・定着に繋げる目的で、現行加算に加え、「介護職員等特定処遇改善加算」(以下、特定加算)が新たに創設されました。特定加算は、技能・経験のある介護職員の処遇改善を目的に、介護報酬をさらに加算して支給する制度です。内閣府が2017年12月に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」で提示された、「勤続年数10年以上の介護福祉士に対して月額平均8万円相当の処遇改善を行う」という方針に基づく制度設計です。また、経験・技能を有する介護職員に重点化し、介護職員に対する一層の処遇改善を行う一方で、一定のルールに基づき、その他の職種(介護職員以外)への処遇改善も、法人の判断で可能となる等、柔軟な運用も認められています。絶対要件として、現行加算と特定加算共に、施設・事業所に入金された加算額は、職員の賃金処遇改善に充当する必要があります。なお、当法人運営の「ダイフク訪問介護ステーション」では、加算Ⅱを取得しています。
2.介護職員等特定処遇改善加算の算定要件について
①加算算定状況
<現行の処遇改善加算(現行加算)Ⅰ~Ⅲを算定していること。>
当法人では全施設・事業所において、最上位の加算Ⅰを取得しています。
②職場環境等要件
<「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」、「その他」の 区分で、それぞれ1つ以上取り組んでいること。>
当法人では各々の区分で、2~8項目について既に取り組んでいます。
③処遇改善の取組の見える化
<賃金以外の処遇改善の取組の見える化を行っていること。>
①加算算定状況、②職場環境等要件に関して、下記に掲載致します。
3.賃金以外の処遇改善の取組について
①加算算定状況
各介護サービス施設・事業所では、下記の加算を算定しています。
介護サービス施設 事業所名 |
介護サービス 種別名 |
現行加算の算定状況 | 特定加算の算定状況 |
---|---|---|---|
介護付有料老人ホーム たなごころ毛穴 |
介護予防特定施設入居者生活介護 | 加算Ⅰ | なし |
特定施設入居者生活介護 | |||
介護付有料老人ホーム たなごころ小阪西 |
介護予防特定施設入居者生活介護 | ||
特定施設入居者生活介護 | |||
ダイフク訪問介護 ステーション |
訪問介護 | 加算Ⅱ |
②職場環境等要件
各介護サービス施設・事業所では、賃金以外の処遇改善について、下記の取組を実施しています。
資質の向上 | 職場環境等要件項目 | 当法人としての取組 |
---|---|---|
働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援(研修受講時の他の介護職員の負担を軽減するための代替職員確保を含む) |
研修受講費用の補助を行うことにより、職員が研修や講習を受けやすい環境を整備しています。 (主な内部研修) ・キャリアアップ研修 ・新任管理者研修 ・現任管理者研修 ・理念浸透研修 ・サービス提供責任者研修 ・マネジメントスキルアップ研修、等 (主な外部研修) ・(認知症)介護実践者研修 ・介護実践リーダー研修 ・介護指導者養成研修 ・新任管理者研修 (養成校の設置) 日本総合福祉アカデミーさんと提携を行い、実務者研修養成校を設置。介護福祉士資格取得を目指す職員さんに対し、受講費用全額補助およびスクーリング時の賃金保証を行っています。 |
|
労働環境・ 処遇の改善 |
新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度等導入 |
新入職員に対しては、プリセプター(先輩)・プリセプティ(新人)制度を導入しています。 (制度の目的) プリセプターが計画的、段階的に新人を指導します。また、相談にのり激励することにより、新人介護職員がリアリティショック(現場の場面で感じる衝撃反応)を体験することなく、職場に適応できるようにします。新人が介護職員として自信を持ち、定着出来るような成長と発達を目指して支援し、一定期間内に新しい役割がとれるようにします。 |
雇用管理改善のための管理者の労働・安全衛生法規、休暇・休職制度に係る研修受講等による雇用管理改善対策の充実 | 研修等の受講にあたっては公用外出扱いとし、受講の機会を幅広く設定しています。各施設・事業所では、労働安全衛生委員会を設置し、毎月開催しています。労働基準法に基づいた職員の雇用管理と安全衛生について、管理者と共に改善に向けて検討しています。また、有給休暇については、積極的に取得できるように推進しています。 | |
ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有(事業所内に加えタブレット端末を活用し訪問先でアクセスを可能にすること等を含む)による介護職員の事務負担軽減、個々の利用者へのサービス履歴・訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理に係る事務負担軽減、利用者情報蓄積による利用者個々の特性に応じたサービス提供等)による業務省力化 |
(介護システムのソフト導入について) 全施設・事業所においてクラウド型の介護システムを導入し、サービス提供記録から職員間の申し送り、請求書の発行まで、一環したシステム体制を構築しています。施設・事業所間はVPNネットワークで結び、ご利用者様の情報も共有し、自立支援に繋がる最適なサービスを提供できるように、意見交換も実施しています。 (端末の活用について) 全施設・事業所においてリモートディスクトップ型ノートパソコンを導入しています。バイタル測定や食事の摂取量、簡単なケア記録については、ご利用者様とコミュニケーションをとりながらシステムに入力できるよう、事務作業の負担軽減をはかっています。 勤怠管理に関して、クラウドでの端末からの出勤・退勤打刻を可能にし、移動時間の短縮及び勤怠集計の簡易化を行い、事務作業短縮をしております。 |
|
介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入 | 負担軽減対策として、入浴介助はリフト浴、移乗介助については電動ベッドやスライディングボード等を導入しています。 | |
子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備 |
子育て支援のために休暇制度を制定し、企業主導型保育所も設置しています。 ・産前産後休暇 ・育児休業 ・短時間常勤職員制度 ・事業所内企業主導型保育施設(365日対応)堺市南区に設置 |
|
ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 | 人事考課を導入し、介護職員にはフィードバック面接を実施しています。上長との面談により、ケア技術の向上はもちろんのこと、職員のモチベーションを維持できるように努めています。介護職員には定期的に、異動の希望等について、アンケートを実施しています。 | |
事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化 | 各施設・事業所において、「安全対策委員会」や「事故防止対策委員会」を設置しています。多職種の職員の参加により、ひはりはっと、インシデト・アクシデント、事故報告書等を分析し、事故の再発、未然防止について検討しています。マニュアルについては、「救急対応」、「誤飲・誤嚥・誤薬防止」、「転倒・転落防止」、「災害・防災」等を整備しています。苦情解決については、社会福祉法第82条の規程により、苦情受付・苦情解決の各担当者を定めています。 | |
健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室・分煙スペース等の整備 | 職員健康診断を年1回(夜勤業務に従事する者は年2回)以上実施しています。また、ストレス度が高い職員は希望により、産業医もしくは臨床心理士によるカウンセリングを受けることができ、心身両方の健康管理に努めています。 | |
その他 | 介護サービス情報公表制度の活用による経営・人材育成理念の見える化 |
介護サービス情報公表システムにおいては、 ・施設、事業所の運営方針 ・教育訓練のための制度、研修その他の職員の資質向上に向けた取組の実施状況、等 を掲載しています。当法人の理念と基本方針については、ホームページに記載しています。詳細は下記リンクをご参照ください。 株式会社ダイフク 理念と基本方針のページへ |
障害を有する者でも働きやすい職場環境構築や勤務シフト配慮 | 個人に見合った業務内容をプログラミングし、先輩職員のサポートを充実させています。勤務については、短時間勤務を選択することもでき、無理のない範囲で業務に従事していただいています。 | |
地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上 | 地域との交流については、下記のような取組を実施しています。 ・認知症キャラバンメイトを配置し、地域からの相談の受け入れ ・地域に向け施設開放した夏祭りや秋祭りの実施 ・地域の方も使用できるよう、AEDの設置 ・夏休み等を利用した子どもボランティアの受け入れ |
|
非正規職員から正規職員への転換 | 非常勤(非正規)職員から常勤(正規)職員への転換については、積極的に推進しています。当法人では、無資格者でも常勤として、採用を行っています。 | |
職員の増員による業務負担の軽減 | 介護人材不足とならないように、当法人においては下記の取組を実施しています。 ・ベトナム人留学生のアルバイト採用 ・フィリピン人技能実習生の採用 ・無資格者を積極的に採用(地域の高齢者、シルバー人材、中間就労等) |